「3倍返し」の特約失念に学ぶ「契約事務ミス」の防止策

契約事務に関して、こんなニュースがありました。

 

「3倍返し」失念279件=防衛省、水増し防止で契約ミス-会計検査院

 

防衛省が、水増し請求をした業者に過払い額の3倍を返還させる「3倍返し」のルールを定めながら、2008~12年度に締結した279件で契約に盛り込むのを失念していたことが25日、会計検査院の調査で分かった。大規模な水増しが発覚した三菱電機との契約でもミスがあり、3339万円を請求できなかった。

 

検査院は上司の確認不足や担当者の不十分な引き継ぎが原因と指摘。「抑止効果が働かない恐れがある」とし、ルールの周知徹底を求めた。

同省は1999年、水増し防止のため、過払い金の返還に加え、同額の違約金を業者に支払わせる特約を契約に盛り込むよう調達部門に通達。違約金は08年に2倍、13年に最大4倍へ引き上げられた。


検査院が調べたのは、過払い金と倍額の違約金を求める「3倍返し」を定めた08~12年度の契約。内部部局、情報本部、海上幕僚監部などが結んだ計9767件を対象に精査した。

 

その結果、123件(契約金額計13億7786万円)で特約を付け忘れていたほか、156件(同61億6389万円)で過払い額の2倍とすべき違約金を誤って同額としていた。(2013/09/25)

 

契約事務を確実にするには?

違約金に関する特約を入れ忘れたため、違約金請求が一部出来なかったというニュースがありました。「水増し請求」に対するペナルティとのことですが、ここでは「どうやってこういった契約事務ミスを防ぐか」を考えてみたいと思います。

 

「こういう契約書には、必ず3倍返し条項を入れること」ということを定めた場合、それを通達で流すだけでは事務ミスが起こります。

 

では、どのようにすればよいのでしょうか?

 

・研修会を行って周知する?→忘れてしまいますよね。

・担当者の机の上に付箋を貼っておく→付箋が飛んでしまったときはどうする。

・ひな型を活用する→過去のひな型を間違えて使うことともあり危険!

 (バージョン確認をしっかり行う、古いひな型を削除するなどの方法が必要です)

 

一つ契約事務ミスを減らすコツがあります。これは、いくつかの会社でも採用いただいておりますが、「契約書チェックシート」を使う方法です。私が契約に関する研修会で提唱している事務品質アップ手法の一つです。

 

■契約書チェックシートの条項一覧(条項名のみ記載)

 

1.目的

2.定義

3.商品、サービスの内容

4.契約期間

5.価格

6.支払方法

7.通知方法

8.債務不履行

9.中途解約

10.期限の利益喪失

11.契約の終了

12.損害賠償

13.納品

14.瑕疵担保責任

15.保証

16.産業財産権

17.著作権

18.秘密保持

19.個人情報保護

20.下請、再下請

21.免責

22.禁止行為

23.法令遵守

24.不可抗力

25.権利の譲渡

26.完全合意

27.裁判管轄

28.準拠法

29.契約の変更

30.複数言語の取扱い

 

 

契約実務の品質向上!

 

上記の30項目に、必要な説明を加え、さらに企業や組織、部署ごとに必要な条項を加えて、契約書を作成するとき、チェックするときに必ず使用するのです。これは、「契約書に書かれていない条項を見つけ出す」効果があるだけでなく、「本人だけでなく、上席も契約書の内容が一目瞭然となる」のがポイントです。

 

優れものの契約書チェックシート。これを社内研修と加えて実務で使用すると、効果絶大です。新人さんでもかなりの契約書実務能力がつきます。社内の契約書品質が間違いなく「飛躍的に向上」しますよ!

運営者

小坂 英雄
小坂 英雄 Kosaka Hideo

愛知県行政書士会所属。2003年行政書士開業。契約書だけでなく、利用規約取扱説明書も作成しております。小坂行政書士事務所代表。(有)起業経営研究所代表取締役。その他NPO法人や一般社団法人などの役員を務めています。